第48章 嫌疑と再会
エレンのいる地下牢に続く階段を降りながら、ハンジは昂ぶる興奮をなんとか鎮めようと何度も深呼吸をする。
「ヒッヒッフーーーヒッヒッフー…」
「いきなりどうした…?」
なんとも怪しすぎる息づかいにすかさずミケがツッコミを入れる。
「な、なんだよ!深呼吸してるんだよ!こんな滾るような展開に興奮するな!暴走するな!なんて無茶だよ無慈悲だよエルヴィンは!」
どうやら今のは興奮を鎮めるための深呼吸だった様だ。
「…深呼吸だったのか…馬のお産かと思ったぞ…それより、エルヴィンはこの間エレンと面会の許可がおりなかったお前に情けをかけて今迎えに行く事を許可したんだ。十分慈悲深いだろ…だから、暴走するなよ…」
「馬のお産って!失礼な!もう、分かってるよー!」
すると、後ろからピタリとついて来ていた見張りの憲兵が、ハンジに向かって一喝する。
「さっきからうるさいぞ!ふざけた真似をすると通さないぞ!」
おまけに銃を抱えた腕でハンジの背中をドンッと押した。
「わっ!!」
「オイ……!」
さすがのミケもここまでされると、横柄な態度の憲兵を睨みつける。
「な、なんだよ…」
196センチもある長身でガタイのいいミケに睨まれると、少し怖気づく憲兵。
「フンッ……」
こんな程度で怖気づくならおとなしくしていろと睨み続けると、その憲兵は気不味そうにしながらも、入り口に立っていた2人の見張り声をかけて地下牢の扉を開けさせた。
ーコツコツー
薄暗い牢の中に入ると中にもさらに2人の見張り。
彼らの巨人討伐能力はいかほどかは不明だが、警備は厳重の様だ。