第8章 近づいちゃだめー
三日月「どうした、主。俺は何処にも行きはしないぞ?」
釘をさし、三日月が手を出さないよう廊下で待機すると言った一期に内心舌打ちしながら、三日月はそっと審神者の身体を抱き寄せた
審神者『ほん、とうに?・・・』
三日月の首元から顔をあげ、三日月に確認する
三日月「ああ。俺の主はそなただからな。俺はここにいる。なぜに泣く?」
審神者『だって・・・じゃあ、ック、なんで私に、ック、手入れさせてくれないの?ック』
三日月「手入れなど不要だ。怪我などしておらぬ故な。確認せねば落ち着かぬか?ならば・・・」
しゃくりあげながらも一生懸命に三日月の身体を心配する審神者がとても可愛くて愛おしい
抱きしめていた両腕を離し、三日月は着物をはだけた
三日月「どうじゃ?怪我などしておらぬだろう?」
傷のあともない引き締まった逞しい身体
トクントクン・・
耳を胸に押し当て鼓動を聞く
審神者『よかった・・・』
三日月「・・・今日の主は大胆じゃな・・・だが、それも良いな・・・」
優しく抱きしめてくれる腕が嬉しくて、審神者は三日月の背中にそっと両腕を回した
三日月「主は、軽いのう・・・」
腰に腕を回して持ち上げ膝の上に座らせ、三日月は審神者が落ち着くようにと、黙ったまま髪を優しく撫でた
三日月(さて・・・どうするかな・・・)
自ら飛び込んできた美しい蝶
廊下には蝶を護る忠実な二振り
いや、二振りだけではない
この本丸にいる全刀剣が、この美しい蝶を愛おしく大切に護っている