第6章 三日月の秘密
この本丸にいる刀剣男士は薬研も含め全員が、審神者のことを一人の女性として大好きで愛おしいと思っている
だが、顕現して間もない三日月には《好き》という感情以外に、《焦り》があるように見えるのだ
三日月「薬研は主のことを、愛しておるのだな。ならばなぜ主を自分のものにしようとはせぬ」
薬研「///なっ!」
好き以上の感情を言い当てられた薬研は言い訳をしようとしたが、三日月がそれを制した
三日月「わかっておる。薬研は優しいからな。主のことを誰よりも愛しているからこそ、主の幸せを一番に願っておる。違うか?」
なにもかも見透かしたような三日月の言葉に反論出来ないでいると、三日月は満月を見上げ闇夜に溶け込むような静かな声で話し始めた
三日月「初めて俺がここに顕現した日は主の誕生日だったな。俺は主を一目見て《桜華》だと気づいた」
薬研「《桜華》?」
三日月「ああ《桜華》というのは主の前世の名前だ」
長い年月を博物館の展示室で過ごしていた三日月は、ある時可愛らしい少女がじっと見つめている事に気がついた
その少女はまるで大好きな人に話しかけるように、刀である三日月に話しかける
他愛もない話を楽しそうに話す姿に、いつしか少女が来ることを心待ちにしてる自分がいた
三日月にとっては僅かな時間の楽しい日々は、ある時突然に消え去ってしまった
少女が来なくなってしまったのだ