第5章 隠された想い
三日月「・・・主よ・・・何故思い出さぬ・・・」
審神者を褥に降ろすと三日月は頬をそっと指でなでた
まるで愛しい恋人に触れるような優しい手つき
山姥切に聞いた話では、審神者は同じ輪廻を繰り返しているという
18年という短い生涯を何度も何度も繰り返し、恋をする場所も、恋をする歳も、そして恋をする相手も同じ
三日月「歳を、とらぬことが原因か・・・」
三日月がこの本丸に顕現した日、審神者は18歳になった
同じ生涯を繰り返していたのなら、審神者はその前夜に亡くなっているはずだ
15歳の誕生日前日に審神者となり、その日から歳を取っていない
ならば、審神者は15歳になってはいないのだから《思い出す》以前に《恋をしていない》のだ
千年の時を生きてきた三日月でも、止まってしまった時を動かす方法など知らない
幼い寝顔を見つめながら三日月は知らず知らず何度もため息をついていた
審神者『ん・・・あれ?ここは・・・私、何で寝てんの?・・・』
目の前にあるのは見知らぬ天井
審神者は眠る前の記憶を一生懸命思い出していた
審神者(確か短刀ちゃんたちと鬼ごっこをしてて・・・縁側で三日月たちを見かけたから小狐丸の背中に隠れたんだったよね・・・そうか〜小狐丸の背中があんまり気持ちよかったから寝ちゃったんだ!で・・・ここは何処?)
記憶を思い出した審神者は身体がやけに重く動かせないことに気がついた