第1章 淡い初恋
-----前世の記憶-----
『せっかくの誕生日なのに何で博物館なの?』
桜華はブツブツと文句を言いながら興味無さそうに展示品を見ていた
学校行事でなければ絶対に来ることのない場所"東京国立博物館"
全て素通りしたいところだがレポート提出のため、仕方なく展示品の説明文をノートに書き写していた
(適当に書き写してさっさと終わらせよぅ)
集合場所の中庭で昼寝を決め込んだ桜華はノートを閉じると足早に展示室を出た
(あれは・・・)
隣の展示室に入った桜華は、目に飛び込んで来た一振りの刀から目が離せなくなってしまった
"○○○○
最も美しいとされる一振り"
『綺麗・・・』
友達が呼びに来るまで桜華は○○○○をずっと眺めていた
桜乱舞する春
空には微笑むように浮かんだ三日月
15歳になった桜華の初恋は美しい刀だった