第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記
第4章 第四章「第八深淵少女」
「だーめっ。」
私は、水月ちゃんを手の中で転がすように遊んでいると、頭に来たのか、水月ちゃんは背中をぽかぽかと叩いてきた。
「ふふ、水月ちゃんも何か竹華ちゃんに書いたらどう?」
そう言うと、水月ちゃんは人が変わったように、机の上に置かれた収納棚からペンと紙を取り出す。
「じゃあ、書こっか。」
水月ちゃんは、落ち着き無く頷きペンを手に取る。しかし、そのペンは紙の上を走る事無く止まったまま。水月ちゃんは顔を上げ、予想通りの質問をしてきた。
「詩ってどうやって書くの?」
私は、少し頭の中で整理した後に、水月ちゃんにこう言った。
「私の考えで話すとしたら、先ず三つに種類が分かられるかな。一つは、直感的に書かれたもの。二つ目は、意図して考え込まれた詩。三つ目は、その両方を上手く取り混ぜたものかな。」
私は新しい紙を取り出して、丸を三つ書いて一つ一つ説明していく。
「でも、一言に書き方って言われても一人一人違うから、私の考えを水月ちゃんに無理矢理押し付ける訳にはいかないかな。」
私は、続けて説明する。
「詩は、自分で書いたものを誰かと読み合って楽しんだり、教え合ったりして少しずつ学んでいくものだから、先ずは自分が書きたいって思った事を書くのが良いのかな。」
少し語りすぎてしまったのからか、水月ちゃんは理解しようと頑張って、少し疲れた様子で頷いていた。
「少し休む?」
「ううん、大丈夫だよ。」
水月ちゃんは、大きく首を振る。
「そう。この話が終わったら、一旦休憩にしようか。」
右に座る水月ちゃんを、私はそっと撫でた。
「人それぞれ書き方が違うとは言ったけれど、共通するものは勿論あるから、それを一つずつ話していくね。」
水月ちゃんは、要点をまとめる為に机に手を置く。だから私は、ゆっくりとした口調で話し始める。
「一つ目は、当たり前だけど書くものが無ければ始まらないよね。」
水月ちゃんはそう聞いて、少しの間題材を考える。その結果、水月ちゃんの口からは質問が飛び出してきた。