• テキストサイズ

第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第4章 第四章「第八深淵少女」


「その事なんだが、単刀直入に依頼内容を話すとしたら”メーヴェ”関連の調査になるな。」
その答えに、リア姉がどうして私が必要なのか理解した。それと同時に、今度もリア姉と一緒に行く事になるのだろうと、大体の察しが付く。
「最近、メーヴェ関連の事件が増えていてな。近いうちにまた出るかも知れないって事で、メグ姉から頼まれてる。」
「じゃあ、またお姉ちゃんと二人で痕跡探しって事になるのかな?」
リア姉は、間を空けずに頷く。私の脇の下に手を通し、軽々と持ち上げて抱える。
「まあ、そうなるな。機関に関しては分かってはいると思うが、毎回ばらばらだから何とも言えないかな。」
私はリア姉をしっかり抱き抱えて、息を吐く。メーヴェ...。最後に姿を現したのは、創世期の最後の方だった気がする。時期としては少し遅いくらいだろうか。まあ、来ないでいてくれた方がこちらとしては嬉しいのだが。
「それで、今回は何処を調査するの?」
リア姉は、既に水月ちゃんか緑針さんに用意されていたタオルを、籠から持ち出す。少しすると、私の頭の後ろから浴場の扉が開く音が聞こえた。
「最初に調査するのは、既に被害を受けている世界だろうな。次いでメーヴェが次の標的にしそうな世界を絞り込む調査。時間が掛かる事は言うまでも無いかな。」
「だから三か月後なの? 水月ちゃんを呼べるのって。」
入り口付近に山積みにされた木桶を一つ取り、シャワーの前にリア姉は座る。
「まあ、メーヴェもこの感じじゃあ、直ぐには来ないと見て問題無いと思うけど、何より関係の無い人にまで、怪我して貰いたくは無いからな。保険としての三か月間かな。」
そう言いながら、椅子を引っ張って隣から持って来て、私を下ろして座らす。
「でも、メーヴェって何を目的として襲ったりしてるんだろう。特定の種族や世界だったら分かるんだけど、いつも違うから。」
「本人に訊いてみないと正直何とも言えないけど、血だけを求めてる辺り、食事としか思って無さそうだけどな。」
そう、リア姉は少し頭を悩ませた様子だった。若し本当にそうだとしたのなら対策の仕様があるが、言葉が通じないのだから何も出来ないのが現状。その上、滅多に姿を現さない訳だから、生活の拠点となる場所の特定が出来ない為、その対策さえ行えていない。
/ 108ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp