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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第4章 第四章「第八深淵少女」




 眼が覚めると、それが夢だった事に気付く。私の前には、ぼやけた映るリア姉が、頬を撫でて私を見ている。瞬きをする度に、私の視界は歪んで映る。
「どうした? 何か怖い夢でも見たのか?」
リア姉は、横になる私を抱き寄せる。だから私は、身を任せて肩に顎を乗せた。
「ううん...。リゼちゃんと廻樹の枝の上でお弁当食べてる夢...。」
「そう...。あの時のか。...苦しかったな。」
私は感情を上手く隠せず、リア姉の服に顔を押し当てる。少しこうして、自身を落ち着かせたいと思った。
「そのまま掴まってて良いから、お風呂入らない?」
リア姉の服の両脇をぎゅっと掴み、私はさらに身体をくっ付ける。
「...入る。」
「うん...。じゃ、行こっか。あっ、トイレも序でに行っておくか?」
リア姉は、私を抱えたままベッドを下りて、もう一度しっかりと抱え直す。
「お姉ちゃんは?」
私は、擦ってから顔を上げてリア姉の方に首を寝かせる。
「...私? そうだなー...。じゃ、行こうかな。」
リア姉は、首を九十度捻って私に向かって微笑んだ。だから私もそうしようと下瞼に乗る涙を拭こうとする。すると、その手がリア姉の頭に当たってしまった。
「んっ......。っつー...。」
「ごめんっ。...大丈夫?」
当たった場所を押さえるリア姉を、私は痛めないようにそっと撫でる。
「...う、うん大丈夫。フィは怪我してない?」
「うん。」
リア姉は、私の手を取ると目視で赤く腫れていないか確認している。
「良かった。怪我は無さそうだな。」
そう、私の頭を撫でて安心した様子で微笑む。私が何かを善意でしようとすると、また迷惑を掛けてしまうと考えると、リア姉に顔も合わせられなくて、俯いて顔を隠した。
「ほーらー、殻に閉じ籠って自分を責め立てたって何も変わらないぞっ。」
リア姉は、私を強く抱き締め、頬を擦り始めた。
「このくらいでそんなに抱え込んでちゃ、何時か死んじゃうぞっ...。私は大丈夫なんだから、元気出して。その負の感情は、お風呂で一緒に流せば良いから。」
そう、私の肩を叩いた。私はゆっくり顔を上げて、リア姉の顔色を窺う。でも、リア姉の表情には優しさしか詰まっていなかった。リア姉の事を少しでも疑った自身が、物凄く馬鹿馬鹿しく感じる。
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