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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第1章 第一章「乖離的慣性の法則」


「そういえば、水月ちゃんは何歳なんですか?」
「うぅーん.........。」
水月ちゃんは、考え込むように視線を一点に集中させている。
「では質問を変えますけど、中心世界創立時期の公開演説を聞いたことは?」
「うん、あるよ。お姉ちゃんと聞いてたもん。」
水月ちゃんは、すっきりした表情で吐き出すように、息をするように言った。その答えに、ミシアちゃんは困った様子で少し吹き出すように笑う。
「ミシアちゃん...、アステルさんの話の通りみたいだね...。」
「...はい。」
中心世界創立時期は、今から数千万年以上前のもっと前の話。もう呆れる他無いだろう。
「でも、お姉ちゃんに訊けば分かると思うよ。私、お姉ちゃんと少ししか離れてないから。あっ、そういえばお姉ちゃんと村の人たちがお料理してたから、着いたら直ぐご飯だと思うよ。」
「じゃあ、楽しみだねっ。」
「うんっ!だってお姉ちゃんのお料理凄く美味しいんだもんっ。」
水月ちゃんは、感情豊かにお姉さんの事を口々に褒め称えていた。
「...お姉ちゃんの事好き?」
気付いた時には、私の口から、咽喉のもっと奥底から滑り出ていた。無意識的になのか、意識して言ったのか。
「うぅー...お姉ちゃんには恥ずかしいから言わないでね?」
「ふふっ、今のお嬢様みたいですねっ。」
「ちょっ、ミシアちゃんそれどういう意味っ?」
「そのままの意味ですよっ。」
ミシアちゃんは、そう言ってより一層楽しそうに笑った。最近、何処かミシアちゃんに心を覗かれているというか、突かれてるような感じがする。
「ふっ、フィにもお姉ちゃんいるの?会ってみたいーっ。」
「えっ......あ、いるよ二人。」
水月ちゃんが少し笑っていたのが気になったが、彼女がこの質問をしてくるという事は、公開演説の時のような過去の記憶は意識して覚えていられていないみたいで、あの場に私がいたことは流石に覚えていないらしい。逆に覚えていられても怖い気がするけど。
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