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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第4章 第四章「第八深淵少女」


「今回の要請をしたのって、空木さんで間違いないよね?」
「あぁ。そうだけど、どうかしたのか?」
リア姉は、その質問に少し驚いたように答える。リア姉は、足元に折り畳んで置かれた掛け布団を広げて、私たち全員に掛かる様に掛けた。かなりぎりぎりで、端が食み出してしまっていたが、水月ちゃんにだけでもしっかり掛かっていれば、私はそれで良い。
「あ......。じゃあ、私は掛けなくて良いよ。二人で掛けて。私より、フィを優先すべきだからな。病人なんだし。」
そう言って、私にしっかり掛かる様に被せた。
「...ありがとう。」
「良いんだよ。私は、緑針さんから掛け布団借りてくるから。少し待ってて。借りてくる。」
リア姉は、私の頭に手を置いて優しく微笑む。布団を下りると、扉が開いて閉まる音がした。途端、部屋は静寂に包まれて息苦しく感じた。でも、水月ちゃんの寝息のお陰で、気を紛らわせてくれる。空木さんの要請の真意を調べない限り、私のもやもやも晴れる事は無い。私は、現在調査中のメイドさんに追加で、今回の件の関係者を調査をしてもらうように連絡をする。
「よし...、これで良いかな。」
そう言って、CREA-PCを閉じた。連絡が終わった頃に、リア姉は、掛け布団を手に持って帰って来た。リア姉の後ろを見ると、緑針さんが木桶とタオルを持っていた。これからお風呂に入るのだろうか。
「桶は、ここに置いておいて良いですか?」
首を横に捻り緑針さんを眼で追っていくと、私の寝ている方に近いベッドの横にある棚に木桶を置こうとしている。
「あぁ、そこに置いてくれ。」
リア姉は、掛け布団をベッドに置いて、緑針さんからフェイスタオル程の大きさのタオルを受け取っている。
「フィ、ゆっくりで良いから起きれるか?」
「え、うん。良いけど何?」
リア姉が言っている事に理解が及ばないまま、私はゆっくりと身体を起こした。これだけの動作でも、身体の節々の関節が針で刺されたような痛みに襲われ、全身に響く。
「その様子じゃあ、今日は風呂入れないだろ? だからタオルで身体を拭くんだよ。少しの間寒いだろうけど、一人で服脱げるか?」
私は、リア姉に言われて漸く誰かが風呂に入る為に、緑針さんが持ってきたものでは無いという事が理解出来た。しかし、普段は気にしていない事を改めてさせられると、お姉ちゃんとは言えど恥ずかしく感じる。
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