第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記
第4章 第四章「第八深淵少女」
第三世界「ファーベルグ」には、それ程娯楽施設が存在していない。それは、第三世民の「遊びとは、幼き娘が行うものであり、働き人がするものでは無い」という、信念に反する邪なものであると、昔からの思想が現代にも少なからず影響している事が原因と言えるであろう。その為、遊ぶ大人を冷視する傾向があった。しかし、そういったものは早くも払拭される事になった。その一つの要因とも言えるものが、その当時に第三世政府が行った政策だろう。
第三世政府は、”労働改革”と称して、労働時間の改善や第三世民の休日を最低、月十日、年百日以上とする事を義務付けた。その為、一時の混乱を招いたが、長い時間を経て馴染んでいくものとなった。さらに、第三世政府が主導して娯楽施設となる遊園地の建設計画が、第三世民に公開された。
そんな遊園地だが、過去に一度、凄惨な事故が起きている。開園から百六十五年の黎明期百六十三年に、それは突然として起きた。第三時歴(一年を三百日、一日を二十時間とする)、十一の時に遊園地の地下施設内で多くの銃声と爆発音がが響き渡った。
来場者、犯行組織を含め、死者八百四十七名、重体三百三十六名、重傷七百十二名、軽傷千二百五十名。死者の三分の一程度が、まだ幼い子供であった。通報を受けた第三世政府が、現地にテロ対策特殊部隊を派遣した。長い戦闘の末、二時間半程で制圧された。第三世政府の発表によると、実行犯は第七十二世界の犯行である事が調査により判明した。しかし、第三世政府は報復措置を取らず、世界間の戦争となる事は無かった。その為、第三世民の怒りが収まる事は無かった。第七十二世界の犯行理由に関しては、未だ説明が為されていない。他世界の攻撃に対する自衛措置を取ったのは、これが最初で最後だろう。歴史上の記録名称として、この事件は”小さな戦争”と呼ばれている。
―――(アクテ-ミント)―――