第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記
第3章 第三章「魑魅魍魎の忘却曲線」
「えっ...、うん。分かった、座って待ってるね。」
完全に理解していなかったが、何となくで水月ちゃんに返事を返した。水月ちゃんは、慌てた様子でキッチンに走って行った。
「緑針さん、大丈夫ですよ。私だってここに来る前に、水月ちゃんの代わりに壁に叩き付けてますから。」
「ふっ...。それ、何が大丈夫なんですかっ?」
私も、何故自慢気にこう言ったかは定かでは無いが、結果的に緑針さんの顔にも笑顔が戻った気がした。
「ご飯...、温めてきますね。」
「はいっ。」
緑針さんは、水月ちゃんの後を追う形でキッチンに向かって行った。
「空木さん、先程は城であんな事しましたけど、空木さんにはこの仕事、続けていて貰いたいです。ああいう所が無ければ、空木さんは完璧なんですから。...暫く、休んでいて下さい。当分は忙しくなるでしょうけど。自業自得です。」
空木さんは、ゆっくりと立ち上がり再び頭を下げた。
「気を付けて城まで戻って下さいよ。道は既に暗闇に包まれてますからね。」
「はい。お気遣いありがとうございます。」
空木さんに、小さく手を振り見送る。彼女が、これから何をして過ごすのか、一週間近くは様子を見た方が良いだろう。そうすると、もう暫くここにいないといけないだろう。でも、ここにいるのは凄く楽しいから嬉しい事なのか。
「フィーレーアーさーんー...、お腹空いたぁー。」
風花ちゃんは、項垂れた様子でお腹を鳴らしていた。
「ふふっ、確かにそうだね。お部屋で座って待っていよっか。」
風花ちゃんは、私に再度抱き付いた。これが彼女なりの返事なのだろう。居間に、席について待っている事にした。