第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記
第3章 第三章「魑魅魍魎の忘却曲線」
「いえ、昼食は大丈夫です。それと、水月ちゃんはフェッセルン山で少し疲れているようだったので、昼食と休息はしっかりと取るようにさせて下さいね。」
「えっ、別に私は疲れても無いし、全然動けるよ。さっきはお腹が空いていたから動けなかっただけで、お昼食べれば大丈夫だよ。」
このように、真っ直ぐに陰り無く言えば、水月ちゃんが言い返してくる事は勿論分かっていた。だから、この場で集団心理を利用する他無かった。
「水月、貴女はゆっくり休みなさい。フィレアさんみたいに動き慣れている訳じゃ無いんだから。」
「でも...。でもフィ、近頃はどの世界も平静だからこうやって外に出る事は少なくて、家から出ないで籠りでがちだって言ってたよ。」
水月ちゃんのその執念深さは恐ろしく、二人で熱を出した時に話した事から痛い事を持ってきた。かと言って、私たちみたいな人は長い間動かなくとも、大して影響が出る訳では無いが。
「水月っ...。」
「......ずっ...うっ...う...。」
水月ちゃんに対し、緑針さんは強めの口調で言うと、追い込まれた水月ちゃんは作り上げた砂上が崩れるように泣き出し、突発的な感情に身を任せ、村から出る勢いで走り去って行った。
「水月お姉ちゃん...。」
「緑針さん...風花ちゃんはお願いしますね。直ぐに水月ちゃんにを探してきます。」
緑針さんは、首を横には振らず頷く。私は、大腿に座っている風花ちゃんの脇の下から抱いて緑針さんに受け渡す。ずっとしゃがんでいたからか、立ち上がると立ち眩みにあったが、そんな事は気にしないと頭を振り、水月ちゃんの走って行った城側の篝火まで走って向かった。