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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第2章 第二章「深化列車036」



「ん...あれ、水月ちゃん寝ちゃった...?...みたいだね...。」
撫でる力が弱くなり、水月ちゃんの手が止まったと思い静かに顔を覗き込むと、水月ちゃんは瞼を落としていて、頬を伝う涙は乾き静かに寝息を立てて眠っていた。その水月ちゃんの姿を見て、直ぐに二人の所に向かおうとした自分を抑えて、タオルを洗面台で濡らしてきて軽く拭き取る。その時、水月ちゃんの眼がぴくりと動いて少し口角が上がった。冷水で濡らしてきたので、水月ちゃんは少し驚いたのだろうけど、その姿が可愛くて、私は暫く頭を撫でたまま水月ちゃんの傍に横になって、掛け布団を水月ちゃんの肩までしっかり掛けた。

 水月ちゃんを一人にするのは気が引けたが、事態の重要度から少しの間、水月ちゃんの傍を離れる事にした。扉を静かに閉めて居間に入ると、夕食らしきものを取っているミシアちゃんと緑針さんがいた。
「水月ちゃんは、もう寝付いたんですか?」
襖の開く音に気付いたミシアちゃんは、食べる手を止め箸を擱いた。
「うん、ぐっすり。でも、誰か一人置いておいてくれる?今、一人にするのは心配でならないし。」
「ではすぐ来てもらうよう、伝えますね。」
ミシアちゃんはそう言うと、PCを開き何かを入力し始めた。
「ありがとう。」
「中心世界だけあって、私たちにとっては近未来な機器も持ってるんですね。この世界にも似たようなものもあるんですけどね。」
そう、物珍しそうにミシアちゃんのPCを観察している。
「年月が先ず違いますし、身体的な仕組みも違いますからね。」
「取り敢えず、めぃちゃんと蓮花ちゃんに来てもらうように通知しておきました。数分もすれば来るでしょう。」
ミシアちゃんは、入力を終えるとPCをしまい、少し表情が和らいだような気がした。
「それで、熱はもう大丈夫なんですか?」
緑針さんは、ミシアちゃんから話を聞いたのか熱がある事を知っていて、私の額に手を当てて確認している。
「私は慣れてますからこのくらいなら大した事無いですけど、水月ちゃんにも熱があったので解熱剤でも飲ませてあげて下さい。」
流石に水月ちゃんにも熱があると察していたのか、それほど驚く様子は無かった。
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