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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第2章 第二章「深化列車036」


 小刻みに、不安定に震える水月ちゃんの身体。この温もりも、針のように冷たくて。渇欲の寂しさも、酷く孔だらけの器では処理不可能。水月ちゃん自身に、竹華とは誰かなんて訊けやしない。もう、何となく分かっちゃった気がしたから。大切な人には変わりないと。底知れない、爛れ残るどす黒い感情は、何にも満たされやしない。私の体温で温まろうと、心は永久凍土で...。
「......フィ...ありがと.........。...少しは...私は整理がついて...きたよ。」
水月ちゃんは、涙で言葉が崩れようと話してくれた。
「......ごめんね...。」
私には、只々謝る事しか出来ない。水月ちゃんに掛けられる言葉が見つからない。
「ううん...、フィは何も悪くないよ......。私、急だったから何も考えられなくなって...、歯車が可笑しくなっちゃっただけだから...。」
水月ちゃんは、その空っぽの笑顔で言った。
「...暫く、このままでいても良い?」
抱き締める力は次第に強くなり、水月ちゃんは俯いたまま視線を視線を泳がせて、私に目を合わせる事は無い。
「...うん...。」
状況に迷いながらも了承すると、水月ちゃんは分かりやすくぴったりくっ付いて、顔を深く埋めようと顔を動かしている。
「へへ......。やっぱり...フィの温かさって凄い落ち着く...。」
私は、隙間から入り込んで水月ちゃんの顔が見える様に身体を動かす。水月ちゃんは、眼を瞑ったまま微笑んでいた。それが何故か嬉しくて、感情が制御出来なくなって、涙が頬を伝っている様な気がした。
「ふふっ...。もう...、何でフィが泣いてるの...?...ひひっ、よしよーし...。.........可愛いー...。」
水月ちゃんは、手で私の頭を軽く覆い背中を何度も擦ってくる。撫でる手が優しくて、温かくて...、水月ちゃんは妙に撫でるのが上手かった。
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