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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第2章 第二章「深化列車036」



「んん...。」
頭が重い...。それに頭がぼーっとする。けど、私の手を握るミシアちゃんが、ぼんやりと確かに見える。
「あ...、あぁぁ...お嬢様ぁーっ!!」
ミシアちゃんは、私に目覚めたのに気付くと目が潤み、気付いた時には、既に強く抱き締められていた。
「うぎゅぅ...ミシアちゃん苦しいよぉ...。」
ミシアちゃんは、嬉しそうに私の頭をずっと撫でてくる。それが私も嬉しくて、いつも通り凭れて抱き付いた。
「んっ...、お嬢様お熱ありませんか?」
ミシアちゃんは、私の額に額をくっ付けて体温を確認している。
「ふふゅ...、今気付いたの?」
「...はい。こうやってお嬢様に抱擁するのも久しぶりだったので、少しいつもより暖かいなぁとだけ...。」
いつものミシアちゃんらしい返答に、少し心が和むような気分になった。
「私って何日間寝てたの?」
正直、私の意識は夢の中だったので見当も付かないが、ミシアちゃんの反応から一週間は超えていないだろう。
「今日で三日目です。一体、何があったんですか...?」
先程のミシアちゃんとは打って変わって、真剣な眼差しで私の顔をまじまじと見つめる。
「その話は、また後でじっくり...話そっか。」
何処かで見たと、皆一緒だったとミシアちゃんを軽く宥めた。
「わ、分かりました。」
ミシアちゃんは、空気に察したのか静かに頷いて返答した。それより、水月ちゃんの事が気になって仕方が無くて...。
「......水月ちゃん...。」
右に振り向くと、視線は天井に釘を打ち叩き。いや、どこも見ていない、見えていないみたいで、涙が途絶える事が無い。決して、戻って来れたという嬉し泣きでは無い。愁い交じりの、それ以上のもの。全て弾けた私は、ミシアちゃんを掻い潜って水月ちゃんの所まで行き、静かに、静かに優しく包み込んだ。
「ミシアさん夕食持っ......。」
扉が開いて、誰かが入って来た様な気がしたが、そんな事は余り気に入らなかった。
「ーっんとっ...、ちゃんと持ってないと折角の料理が台無しになりますよっ。」
「...えっ...、あ、ありがとうござ、じゃなくて、あ、あれ...。」
「お二方は、今はあのままにして置いて下さい。詳しい話は、後にフィレアお嬢様から訊きましょう。」
「......は、...はい。」
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