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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第2章 第二章「深化列車036」


「私を信じて...としか言えない。先ずはこの座席を最初の衝撃吸収に使う。次に降り飛ばされるだろうけど、私が体勢を立て直す。」
「うん...。フィ、若しかしてこういう事慣れてる?」
「勿論、どんな危険も乗り越えてきたよ。でも、その分怪我も沢山してきたけど。」
「怖いけど...フィを信じるね。私も、捕まったら殺される鬼ごっこなんてしたく無いし。」
「ありがとう。ふっ、若しかして水月ちゃんも慣れてる?」
「もうっ...。」
水月ちゃんは、怒ったのか照れたのか、私の胸をぽんと叩いた。私は、水月ちゃんをしっかりと抱え上げ、軽く深呼吸をして息を整えてから、シーツを落としたと同時に飛び降りた。直ぐに私たちを強い風圧が襲い、吸収されたのか疑う程の衝撃が、私の背中から響く。降り飛ばされた身体を何とか動かして、着地の瞬間に後ろ方向に飛ぶように何度も蹴り上げ、減速させていった。最後の方に、体勢が崩れ、ごろごろと固い地面を転がらされたけど。
「んっ......うぅ...水月ちゃん怪我は無い?」
少しの間、身動きが取れなかったが、時間が経てば手足に力が入るようになってきた。
「うん、擦り傷一つ無いよ。」
水月ちゃんは元気そうにぴんぴんしている。水月ちゃんは抜け出せたのが余程嬉しかったのか、私を力強く抱き締めてくる。その所為か、痛みがぶり返したが、水月ちゃんに怪我が無い事に、一先ず安堵を覚えた。
「それなら良かった、先ずは一難逃れたね。それと一つ分かった事がある。これは猿夢という怪異によく似てる。最初は夢魔か何かの類だと思ったけど。」
水月ちゃんに、手を引かれ起き上がる。空に浮かぶ紅い雲に月は、今にも落ちそうに不安定。
「...猿夢なら私も知ってる...。家の書庫にあった本で読んだことある。」
「水月ちゃん、勉強好きなの?無事に帰れたら幾らでも教えるよ。」
「本の通りなら、この遊園地に発電室があるって。」
水月ちゃんに、無視されたのが気になったが、今は考えない事にした。
「じゃあ、それを探しましょう。夢が夢で終われるように。」
この、夢幻で虚構の戦慄とする螺旋から抜け出す為に、牙城の遊園地を潜り掠めた。
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