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第零世界「メレンス」ースカ―ヴァイス・フィレアの章 始記

第2章 第二章「深化列車036」


「いや、方法は二つ。一つは、私が車内にいるクラウンを一掃してくる。一つは、この扉...よし開いた。ここから飛び降りるよ。そうすれば、追ってくることは出来ない。」
「でも、それじゃフィが危ないよ...。」
すると、水月ちゃんの声を遮るように、再び放送が流れる。
「業務連絡。不審人物が車内にいる為、次の駅には停車致しません。引き続き、捜索に尽力して下さい。」
「水月ちゃん聞いた?」
私は直ぐに、選択肢が増えたと、そして一難の隘路を抜け出せると確信した。
「ん、何?」
「選択肢がもう一つ増えたよ。緊急停止のレバーはここにある。操縦席はここに。そして、運転士はさっき私が縛り付けた。これが何を意味するか分かる?」
「...停車駅に何かあるって事?」
水月ちゃんの回答は、非常に鋭いものだった。例えるなら、研いだばかりの刀の切っ先程に。
「確かにそれもそうだね。でも...少し後ろに下がっててくれる。」
私は、鉄棒で緊急停止レバーを叩き壊し、次いで、操縦装置に何度も振り下ろし、ショートするまで破壊した。
「えっ、フィ何で壊して...。」
「水月ちゃん、あれ見える?」
私は、水月ちゃんの言葉など他所に、外を見る様に指を指す。水月ちゃんを、落ちない様に軽く押さえて身を乗り出させる。尚、水月ちゃんの表情に変化が付く事も容易に想像出来た。
「遊園地...?」
水月ちゃんも、この状況では流石に心躍らせる事は無かった。
「私に掴まって。飛び下りてあそこに行くよ。」
「駄目っ、この速さじゃ死んじゃうよ。」
水月ちゃんは、躊躇ってか私の裾を車内に向かって強く引く。
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