第2章 奉公
「ご苦労だったな」
あらまあ…。
スラリとした長身、しなやかな手脚、艷やかに光る髪、クッと引き結ばれた唇。
領主様の姿をマジマジと見たのは初めてだけど、何というか…そう、いい男だった。
でも私たち使用人を見る目はなんだか寒々しいし、人間というより鳥類か何かみたいな、ギョロリとした雰囲気があった。
なんとなく、怖かった。
「ふむ」
領主様は私たちを、頭のてっぺんからつま先までジロジロ睨みつけた。
そして突然、私を指さして言った。
「この女はボクの専属にする。他の女はいつも通り、屋敷の仕事を教えておけ」
それを聞いた使用人長は、女性3人を引き連れて部屋を出て行った。
え、ちょっと、待って…。
バタ厶ン、と重苦しい音を立てて扉が閉まる。
暗い執務室の中で、私は領主様と2人きりになった。