第2章 奉公
館に入るとすぐ、使用人を束ねる偉い人が出てきた。
寝泊まりするための部屋を案内され、使用人用の質素な服をあてがわれた。
キレイな白いドレスとはお別れだ。
でもこっちの服も手触りはよい。やっぱり金持ちのくれる服は素材が違うんだなあ。
室内には私の他にも女性が3人いた。みんなそれぞれの土地から集められたんだろう。
誰も彼も沈鬱な顔をしている。そりゃあそうだよね。
私たちは何の会話もしないで、静かに着替えを済ませた。
「領主様、新しい使用人を4名お連れしました」
使用人長はそう言って、大きな部屋の重そうな扉を開いた。
ここは領主様の執務室。
私たち4人は使用人長に続いて部屋に入っていった。
フカフカの赤い絨毯。真鍮のロウソク立て。重そうな木でできた机に椅子。
いい暮らしをしているのはひと目でわかったけれど、わりに室内は暗くて、どこか陰鬱だった。
肝心の領主様はどこに居るんだろう、と目を動かすと、執務室の奥にこぢんまりした扉があり、その奥からカツカツと足音が聞こえてきた。
ギィと音を立て扉が開く。
カツカツと規則正しい足音が扉の敷居をまたぎ、私たちに向き直り、こう言った。