• テキストサイズ

ビタンズの惨劇

第8章 断罪



「簡単に言うと、優れた人間だけを生かして、劣った人間を殺すということだ。世の中、生き残るべきでない人間が多すぎる」

……。
……。
……。

はあ。

え?

「まず、持病を抱える人間が子を作ることを禁止する。親が虚弱な場合、大抵は子も弱いものだ。次に、産まれた子どもの中から未熟児などを選んで排除することにする。そうすることで、有用な人間だけを残せるようになる。その後は体力、知力などの格付けを定期的に行い、優れた者は身分に関わらず重要な仕事につけるようにしてやる。そうでないものは下働きに使う。婚姻も、優れた男子が優れた女子とともに行うことを奨励する。それと労働ができなくなった老人も排除の対象になる。あとは移民の」
「あ…あの…」

思わず、話を遮ってしまった。
なんだろう、とんでもないことを言われている気がする。
私はヤーシュ様の言葉を、もう一度頭の中で考え直した。

子作りを…禁止。未熟児を…排除?格付け、婚姻、老人…

え?
本当に、本気で?

馬鹿なことを、馬鹿なことを。
これじゃあ一体、何人の人間を殺せばいいの。

ありえない!ありえない!!ありえない!!!


「なんだ。何か意見があるのか」

ヤーシュ様は相変わらずペンを走らせ、私のことを見向きもしない。
どうにかしなきゃ。なんとかヤーシュ様を止めなきゃ。こんな法令が許されていいはずがない。
どうしたらいい?どうしたらいいの?

あっ、そうだ。

/ 70ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp