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ビタンズの惨劇

第8章 断罪



そう…なのだろうか。
そうなのかもしれない。

ヤーシュ様は領主であり、軍人なのだ。
私のような田舎出の使用人とは、負った責任の量が違う。
人の上に立つんだから、時には非情な決断をしなきゃならない、そういうこと…なんだろう、多分。
それもこれも全て、ヤーシュ様の愛するこの領土と領民のためなんだ。


しかしそれにしたって、あまりにも、あまりにもつらい。


不快感に吐き気をもよおしそうになるのを、私は必死にこらえた。

「そ、それで…今は何をされているのですか?」

無理矢理に話を変えた。

「これはな、新しい法令を作ろうとしているのだ」
「そうなんですか」
「前から考えていたことなのだが、周囲の者はなかなか賛同しようとしない。無理だと言うのだよ。しかしやらねばならんと思う。ボク以外にはできんと思う」
「それはどういう法令なのですか?」
「人的資源の確保を通じて国力の増強をはかるものだ」

…言葉が難しくてわからなかった。

「すみません、私には難しすぎる話のようですね」
「いや、お前も知っておいた方がいいな。よし、かいつまんで教えてやろう」

ヤーシュ様は相変わらず書類に向かったまま、次のように述べられた。

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