第2章 1day
「おれはトラファルガー・ローだ。お前名は?」
「…、です。」
「お前の怪我が治るまでおれが見てやる。」
「え…?」
「ただし、船で勝手に暴れたり他のクルーを傷付けるような事をすれば…容赦なく殺す。」
はぽかんと口を開けた。傷付けるわけでもなく、売り付ける訳でも無い。ただ、看てくれるという男に驚く。下界に降りてから人に本当に優しくしてもらったのはいつぶりだろうか。…いや、そもそもこの言葉は真実なのだろうか。疑いの念がよぎるも今男は確かに自分の治療をしてくれた。それも至極丁寧に。それになんとなく、嘘を言ってるような瞳には見えなかった。…もう一度、信じてみようか。そう思った。
「あ…ありがとうございます!私、何でもやります…!」
それは、彼女が船に落ちてから初めて見る笑顔だった。まるで花が咲いたかのような笑みにトラファルガーは俄に瞠目する。
直感的に欲しい、と思った。
初めて顔を見た時から思っていたが、驚く程整った顔をしている。天使だからか、理由は当然知るわけも無いが。美しくも何処か危うさを持つ純粋で人を信じやすい彼女が、欲しい。一目惚れという感情に等しかった。彼女に好奇心を駆り立てられたトラファルガーは意地の悪い笑みを浮かべて徐に立ち上がった。そしてベッドへ座り込むの肩を掴みその身体をゆっくりとベッドへ沈める。そのまま、ギシリとスプリングの音を響かせ、馬乗りに乗り上げた。細く骨張った指先が彼女の唇を端から端へゆっくりとなぞる。
「何でも、な…?」
「あ…の?」
「何でもするんだろう?」
「はい、でも…ひゃっ!」