第9章 番外編
「…もう1人で島を歩かないから。ローも女の人に絡まれたら断って。」
「あぁ。約束する。」
どちらかともなく唇が重なる。少し酒気を帯びた彼の唇は苦くも感じたが柔らかな感触と程よい熱に夢中で首の角度を変えては短い口付けを何度も交わした。すると不意にトラファルガーの掌がワンピースのスカートの中へと忍び込み太腿をゆったりと撫でた。
「ん…ぇ、ロー…?」
「お前に触るのなら良いんだろ。ペンギン達はあらかじめ釘を刺しておいた。」
「でも、他の人帰って来るかもしれないし…!!」
「どうせ朝まで戻らねェよ。」
「でも……っ!」
新たに言葉を繋ごうとするの唇をトラファルガーの唇が塞いだ。離れる事が無い長い長い口付けに酸素を求めて口を開けば容赦無くぬるりとした彼の舌が咥内へ潜り込み、歯列をなぞり器用に舌を絡め舐られる。
「ふっ…ぁ…!!」
「ン……。」
舌腹同士が擦れ合い、唾液が絡む水音が室内に響く。たった数秒の口付けが何分もかけられているかの様に長く感じた。ようやく離れた頃にはは顔を真っ赤に染め、肩で呼吸を繰り返す。
「……諦めて喰われろ。」
「…もう、みんなにバレても私知らないからね…!」
再び口付けを重ねる2人。それから随分長い夜が始まった。
・・・
一方、と別れた青年は上機嫌のまま島の港近くを歩いていた。そこに1人の女性が立ちはだかる。
「やっと見つけた!!」
「コアラか、出航の準備は出来たのか?」
「もうとっくに終わってるよ!!キミ待ちだったんだからね!電伝虫も出ないし!」
「悪い悪い、昔の友達に会ってつい話し込んじまってさ。」
「昔の友達?ルフィ君じゃないの?」
「あぁ、ぱったり来なくなっちまった天使がさ。」
「天使…??」
なんの事だかさっぱり、とばかりに頭にハテナを浮かべる彼女に、青年は歯を見せ笑った。
「まぁ、また直ぐ会えるだろ。そろそろ行こうぜ。」
「だから、キミを探しに来たんだよ。ハックも待ってるってば。早く行くよ!
サボ君!!」
そう呼ばれたのた青年…サボとコアラは夜の港へと消えて行った。2人がまた、決戦の地で出会うのは数ヶ月後のお話…。