第2章 1day
トラファルガーの掌が、薄く汚れたワンピースの中へ潜り込むように太股の内側を膝から上へとゆったり這い上がる。そのこそばゆさと僅かに伝わる体温に小さく身をはねさせたは、困惑と羞恥に肌の色を薄く桃に染め、今にも泣きそうな顔で彼を見上げた。思わず、トラファルガーの手が止まる。まるで小さな子供を虐めているような気分だ。
「…泣きそうな顔してんじゃねェ、流石に怪我人を抱くような真似はしねーよ。」
「ご…ごめんなさい…。」
彼はの体の上から退き、隣へと座り込む。彼女も、おずおずと身体を起き上がらせた。2人の間に妙な沈黙が訪る。その空気に耐えられず、動いたのはだった。側にある彼の片手を掴み、両手でそっと握り込む。
「…下界で人に優しくしてもらったのは、凄く久しぶりでした。ありがとうございます、ローさん。」
「…礼はいい、ただの気まぐれだ。」
航海、1日目。
(触れた彼の掌は、とても優しく暖かかった。)
(重ねた掌は、簡単に壊れそうな程細く柔らかい。)