第9章 番外編
「…いえ、会えてません。彼も海賊なので、どこに居るのか全然分からなくて。」
「男なのか?」
「はい。まるで弟みたいに可愛い人なんです。」
「何処で知り合ったの?」
「えっと…それが…私、小さい頃は今より凄くやんちゃで怖いもの知らずで、兄とよく島から飛び出してたんです。その時に辿り着いた島で仲良くなった男の子が3人居ました。」
「想像つかないな。昔から泣き虫だったんじゃないのか?」
「泣き虫って言わないで下さい!…島から出てるのが両親にバレてそれはもうこっぴどく怒られてからは島から出る事も無くなったんですけど、大きくなって久しぶりに会いたくなってしまって。けれど、その子達の島に行ったら海へ出てしまったと聞いて、探しに出たら海賊に捕まってしまいました。」
「どうして会いたくなったの?」
「私も兄も、突然会えなくなってしまったので。嫌いになったわけでは無いんだよ、っていうのをずっと伝えたかったんです。私も大人になったし、ちょっと位なら島から出てもそんなにお咎めないかと思って。」
「ほう…その探していた男が、今日昼飯を一緒に食っていた男か?」
「違います、あの人はここで出会ってご飯に誘われただけで………っ、ロー!?」
突然の問い掛けに、素で答えたはものの、ここに居るとは思っていなかった人物の声に遅れて気付いたは後ろを振り返った。腕を組んで真後ろに立つ彼は何処かに怒っているようにも見えたがそれよりも先程の光景が頭をチラつき、直ぐに視線を逸らす。
「おかえりキャプテン、情報収集はもう良いの?」
「充分だ。明日には出航する。それと、おれの部屋には来るなよ。」
「きゃっ、お…降ろして!」
「黙ってろ。」
トラファルガーは1度屈むとの膝裏へ素早く手を差し込み強引に彼女を抱き上げた。すかさず抗議の声を上げるが聞く耳を持たない彼はそのままズカズカと船長室へと向かう。何処かデジャブを感じながらもあれよあれよと部屋まで運ばれてしまったは、トラファルガーによってそのままベッドへと降ろされた。
「わ、私ベポ達と一緒に居る…!」
「行かせねェよ。逃げるな。」