第5章 4day
「!!隠れてろ!」
「ッ…!!」
ドン、ドンと銃声が響く。懐から二丁の銃を取り出し銃口を向けた先、それはだった。トラファルガーは咄嗟にの身体へ体重を掛け床へと押し倒す事でその弾を避ける。そして彼女の身体を物陰へと隠した。
「流石の反射神経だな。けど、女1人守りながらオレとアル相手に戦えるかよ?この狭い部屋で。」
にたつくオリビアの隣には、いつの間にか昨夜見たチーターがそこに立っていた。巨体を猫のようにしならせ剥き出した牙は太く鋭い。だがトラファルガーの瞳に怯えも不安も無い。あるのは自信だけだ。
「調子に乗るなよ…サークルの中はおれの手術台だ。」
「手術させなければいいだけの話だ。行くぞアル!」
「指図するな!!」
吠えたアルは文字通りトラファルガーに襲い掛かる。細く硬い爪がトラファルガーの持つ刀と混じり合い、金属同士が擦れるような硬い音。能力も有り力も強化されたアルの方が圧倒的に押していた。は物陰に隠れ、身を縮こまらせる。
オリビアはアルとトラファルガーが対峙している間にの元へと駆ける。が、いち早く気付いたトラファルガーは周囲に目配せ空いた片手を持ち上げた。
「シャンブルズ!」
「ひゃっ!」
「っと…厄介だな、その技。」
オリビアの手がにもう1歩で届く、という所で彼女は部屋の別の物陰へと位置がすり替わる。すると視界の端で黄色い腕が振り上げられた。その腕は一気に振り下ろされ、僅かに反応の遅れたトラファルガーの頬に爪痕を残す。
「よそ見できるとは余裕じゃねェか、噛み殺すぞ。」
「…フン、猫一匹位余所見してても戦える。でないとおれはあの男には勝てねェよ…!"メス"!」
「アル!」
トラファルガーの力は圧倒的なものだった。瞬時に突き出された手は彼の心臓部を貫く。同時にくり抜かれたようにその部分だけが四角くポッカリと空いた。アルの身体は音なく傾き床の上へと倒れる。青ざめたオリビアはそんな彼へと駆け寄った。
「オイ!しっかりしろよアル!」
「心臓を抜いただけだ。死んじゃいねェ。…握り潰さねェまではな。」
「くッ…!!!」
ドク、ドク、と規則的に跳ねる心臓。それは彼の掌の中へと収まっていた。能力が解け、人間に戻り起き上がったアルが恨めしそうにトラファルガーを睨む。