第4章 3day
「気の毒だなァ…美人過ぎるっつーのも損なのかもな。あの姿は目ェ引くわ。オレが口説きてェ位だ。」
「…女装したまま言うなよ気持ちわりィ。」
「あら、お姉様言葉の方がお好みかしら?」
「馬鹿な事言ってんじゃねェ。戻るぞ、オリビア。」
「はいよ。」
店外で交わされた会話は誰の耳に届く事無く賑やかな街の中にそっと溶けた。
一方、とトラファルガーは近くのカフェに入っていた。外のテラスで注文したサンドイッチ、オムライスとお互いに手を付けつつ相変わらず無愛想に声を発さない彼を困った様な瞳を向けては嫌われる事をしかたと、泣きそうな表情に変わる。
「怒ってますか…?」
「怒ってねェよ。」
「じゃあなんで無言なんですか?」
「…お前、自分の容姿を意識した事無いのか?」
「容姿?あ…羽根ですか?」
「そうじゃねェ。…ただでさえ見てくれがいいのに、それ以上目立ってんじゃねェよ。」
「え…?」
「……服も化粧も似合ってる。」
「…!…ふふ、ローに褒められるの、嬉しい。」
「黙って食え。」
「オムライス一口下さい。」
「口移ししてやろうか?」
「外で変な事しないでください。」
「…へぇ、外で無ければいいんだな。」
「ちっ…違!」
「口開けろ。」
「あー…。」
スプーンに乗せられた一口大のオムライスをぱく、と口に含み咀嚼する。程よい味付けのケチャップライス、ふんわり甘いとろとろの薄焼き卵。は幸せそうに頬を綻ばせる。その表情一つが、彼…そして周りの客をも惹き付けた。
その時だった。
「あーーっ!キャプテン!!なんでというものがありながら他の女と飯なんて食ってんすか!」
「はぁ?」
「シャチ、ペンギン?」
「…随時綺麗な格好だな。驚いた。」
「え?あれ…!?何その格好、スゲー!誰かと思った!」
通りかかったのは、買い物袋を大量にぶら下げたシャチとペンギンだった。2人は見慣れつつあった普段の姿とは違った姿のに驚愕し、トラファルガーは疲れ果てたようにため息を吐き出す。
「化粧してんのか?似合ってるぜ。」
「ふふ、ありがとう。」
「服も合ってるな。」
「褒めすぎですよ。」
2人を加え昼食を終えた4人。その後買い物を一緒に続け、終わった頃には日も暮れてしまっていた。