第4章 3day
「1度船に戻るか。」
「そっすね、荷物増えちまったし。」
「戻ったら直ぐに情報交換だ。」
「アイアイ!キャプテン!」
「…アイアイ、キャプテン。」
街の殆どを歩き周り、踵を返したその時。ふとトラファルガーは足を止めた。片手に携えた鬼哭に手を添え息を潜める。ピリつく気配を感じたペンギンとシャチも身を構えた。刹那
ガキンッ!!
耳を劈く金属音。ローの鬼哭に叩きつけられたのは刀だった。突然上がった刃物のぶつかり合う音に街中から悲鳴が上がる。そして目の前にいる刀の持ち主はニンマリと口角を吊り上げ笑う。
「今だ!!アル!」
「…え!?何…きゃっ!!」
「!!」
音もなく現れたのは、巨大なチーターだった。明らかに、普通のサイズではない。ソレはの翼へ噛み付き、力任せに放り投げ己の背へと乗せた。
「…わりィな、この女は貰っていく。」
「ゾオン系の能力者だな…!」
刃同士が擦れる音を立てトラファルガーと男の間に距離ができ、男はチーターの背へ飛び乗った。すぐ様、トラファルガーは能力を展開するが、チーターはそれより早く、roomの外へと駆けていく。その脚の速さは本物のチーターのそれだった。
「クソッ…!」
「待て、キャプテン!」
直ぐに追おうとしたトラファルガーを止めたのは、ペンギンの声だった。
一方、は。ヒョイヒョイと屋根を駆け抜けるチーターの背にしっかりとしがみつく事しか出来なかった。後ろに座る青年は見るからに怯える彼女を見てはさぞ楽しそうにニンマリと笑う。
「あーあ…折角綺麗な羽根だったのに、ボロボロになっちまったな。アルが思いっきり噛み付くから。」
「仕方ねーだろ。」
「痛みは無いのか?チャン?」
「……ありません、ここから降ろして。」
「そうもいかない。命令だからな。暴れられても困るんだ。悪いが眠ってもらうぜ。お姫様。」
「んんっ…!」
口元へ充てられた柔らかなハンカチ。それに染み込んだ匂いを吸い込めば、たちまちの意識は闇の中へと落ちていった。
航海、3日目。
(眠る直接に浮かんで来たのは、少し意地悪く笑った彼の顔だった。)