第4章 3day
「色々事情がありまして…。」
「コラコラ、お客様も困ってるだろう。早く測ってきてあげなさい。」
「ふふ、ごめんなさいね。じゃあ行きましょうか。」
「よろしくお願いします。」
とリディは、店内へと備え付けられた更衣室へと足を運んだ。しっかりとカーテンを閉めた彼女は腰に着けたポーチからメジャーを取り出す。
「両手を上げてくださる?」
「はい。」
言われた通り、両腕を持ち上げる。リディの両腕が背へと回されテキパキとした慣れた手付きで採寸しては小さなメモ帳へとそれを書き込んだ。
「貴方しばらくこの街に居るの?」
「どうなんですかね…?多分、ログが溜まれば直ぐに出発すると思います。」
「それがいいわ。この島には今貴方達以外にも海賊が来てるの。あまり柄のいい連中では無いみたいだから。貴方見たいな綺麗な顔の子は気をつけた方がいいわよ。」
「港に船は無かったのに…。教えて頂いてありがとうございます。」
海賊。今自分が乗っている船も、確かに海賊船だ。しかし、それとは別の船。ほんの数日前までの恐ろしい出来事が頭の中を過ぎりの表情は暗く沈んだ。それを察してか、リディは慌てて両手を顔の前で振る。
「ほら、貴方に似合う服選んであげるわ。好きな色とか、好みはあるかしら?」
「あ……えっと…白が好きです。」
「だったらー…そうねぇ。貴方ホントにいい体してるから、何でも着れちゃうし迷うわぁ。」
それからというもの、リディから渡された服に腕を通しては脱ぎ、腕を通しては脱ぎを幾度も繰り返した。最早ただの着せ替え人形の如く。
その中でも特に気に入ったのが、白のレースあしらわれたポンチョと、清楚なワンピースだった。ついでに、雪対策に黒のショート丈のレインブーツ。
「これが一番似合うわね。まさに天使って感じだわ…!羽根がちょっと傷ついてるのが難点だけど。コレは治るのかしら?」
「はい、羽根は勝手に治ります。」
「そうなのね。ついでにサービスしてあげましょうか。」
「え?」
「ほら、こっちいらっしゃい!」
「えええ!?」
リディに腕を掴まれ強引に連れて来られたのは、明らかに従業員用の部屋だった。中には色々なメイク道具からコテ、色々揃っており大きな鏡まで設置されている。