第4章 3day
いち早く自分の身体を元通りにしたシャチの声にとべポは一緒に駆け寄った。吊るされた梯子から1段ずつ、降りていく。先に降りていたペンギンが手を差し出した。その手を取り地に足付けた瞬間、しゃく、と小気味良い音を立てて足が雪に埋まる。
「冷たい!」
「そりゃ雪だからな。はしゃぎ過ぎて転ぶなよ。」
「こっ…転びません!ペンギンはつなぎ1枚で寒くないんですか?」
「あぁ、慣れてるからな。」
「慣れるものなんですね…。というかみんなツナギだ。」
この雪の降る寒さだというのにツナギ一枚でピンピンしているクルーたちには心底驚いた。自分も同じ格好ではあるが、寒い事に代わりはない。
「、来い。お前はおれと行動しろ。」
「あっ、はい!」
いつの間に降りたのか鬼哭を片手に携えたトラファルガーに呼ばれは彼に駆け寄った。他のクルー達も自分達のやる事は各々把握しているらしい。散り散りにと街へと向かっていく。は隣にいる彼を見上げた。
「ローは何をするのですか…?」
「お前の買い物。」
「私1人でも買い物出来ます!」
「ンな傷だらけの姿でどの口が言ってんだ。」
「うっ…。」
「ほら、行くぞ。」
「ま…待って下さい!」
ザクザクと雪を踏みしめトラファルガーの隣に並んだ。靴の中に染み込む雪が冷たい。最初の雪に対する感動は何処へやら、は寒さに身を震わせ己の身体を摩った。すると不意に、トラファルガーの手が彼女へ差し出される。
「…ロー?」
「寒いんだろ。」
差し出された手が強引にの手を掴んだ。そしてそのままその手ごと自分のコートのポケットへと突っ込む。ほのかに暖かい。そして、縮まる距離。は寒さに鼻を赤く染めながら微笑んだ。
「ありがとう。」
「気まぐれだ。」
2人はピッタリと寄り添いながら雪の降る街を歩く。傍から見れば文句のつけ所の無い、美男美女の恋人同士にしか見えなかった。彼女の服装を除けば。街を見渡せば、衣服から食べ物、レストラン様々な店が立ち並んでいた。ウィンドウに飾られる色とりどりの服たち。はまるで子供のようにあちらこちらと視線を移しては目を輝かせる。
「わぁ…可愛い服、沢山有りますね。」
「適当に入るか。」