第3章 2day
「水持ってくるってどっか行っちまいましたよー!」
「そうか。捕まえてツナギ1枚貰って来い。に着せる。」
「えー、おれがれすかぁ…?」
「いいから早くしろ。」
「わかりましたー、おれもツナギ着てる、見てーし!」
普段よりややテンションの高いシャチはふらつく足取りでその場から離れて行った。残されたトラファルガーは、近くに取り残された酒ビンを手に取り一気に飲み下す。ついでに手近にあったコップにも酒を注いだ。
「あ、キャプテンおはよー!凄く楽しそうだったよ。宴やって良かったね。」
「…べポか。思いの外クルーと馴染むのが早かったみてェだな。」
「うん、皆に興味津々だったから。」
「だろうな。」
それもある意味当然だろう。この女っ気の殆どない船に女…それも美女が乗ったとすれば。普通の男であれば誰だって興味を示す。己が彼女に興味を持ったのもある種の下心だ。自分を含めわかりやすい男達の動向に呆れつつ、視線を海に移すと程なくしてシャチはペンギンと共に戻って来た。
「イッカクのでもデカイんじゃ無いですかぁ?」
「どの道次の島に着いたら別のを買う。それまで着せるだけだ。」
「…キャプテン、それ背中に穴開けてやらないとの羽根出せませんよ。」
「おい、ペンギン。テメェ随時と仲良くなったらしいな。」
「シャチとべポもです。」
「…ほう?」
ジロリと眼光光らせたトラファルガーにギク、と肩を揺らした1人と1匹はそそくさと彼の元から離れた。残されたペンギンは所持していたナイフを彼に渡し、トラファルガーはツナギの背に切れ込みを2つ入れナイフを返す。
「…ちゃんと飯、食ってくださいよ。」
「おれは医者だ。体調の管理はできる。」
そう言ってトラファルガーはペンギンの元を去った。片手にツナギ、もう片手に先程酒を注いだコップを持って。
再び部屋に戻ると、未だシャワーの音が響いている。やはり女性というだけあって、己より余程長いらしい。部屋の奥の扉を無遠慮に開いた彼は、スモークガラスの扉越しの彼女へ声を掛けた。
「服はここに置いておく。上がったら使え。」
「はーい!」