第3章 2day
ズボンは履いているが上半身に何も着ていない。首にタオルを掛けただけ。露出した引き締まった身体に、髪から滴る雫。妙に色気のあるその姿には思わず頬を赤く染めくるりと背を向けた。
「ご…ごごごめんなさい!」
「構わねェよ。何故後ろを向く。」
「あの……は、恥ずかしくて…?」
「男の身体を見るのが?」
「うぅ…!はい…。」
「フフ…初心な奴。」
喉を鳴らし低く笑ったトラファルガーは近くに掛けていたパーカーを手に取り着込んだ。衣服の擦れる音で、それを察したはちらりと後ろを振り返る。
「もう着てる。それとも、まだ見たかったか?」
「ちっ…違います!」
「そうか。丁度いい、テメェも浴びて来い。」
「え?シャワーですか?」
「あぁ。服は用意しておいてやる。タオルは脱衣場にある棚の一番下のを使え。包帯は自分で外せ。」
「わかりました。あの、ペンギンが、ローさんにおにぎりとお酒渡してきてくれって。机に置いたので食べてください。」
「ペンギン…?」
「はい、ペンギンが。ローさんの事、よく知ってるんですね。」
トラファルガーの眉間にピクリとシワが寄った。は気付く事無く、彼を気遣うペンギンを讚頌する。トラファルガーはなんとなく、それが面白くなかった。自分の事は敬称で呼ぶのに、他のクルーを呼び捨てにしている事が。この短時間でもう距離を詰めているのかアイツら…。そんな思いが過ぎる。だが持ち前のポーカーフェイスで不満は表情には出さずただ淡々と答える。
「…そうか、わかった。」
「じゃあ、シャワー借りますね。」
「あぁ。」
は上機嫌でシャワー室へ向かった。
残されたトラファルガーは大きくため息を吐き出し首に掛けてたタオルで頭をガシガシと乱暴に拭きながら甲板へと出る。外は既に日が落ちて暗んでいた。それでもクルー達はまだ、バカ騒ぎをしている。トラファルガーは目当ての人物を探すため、視線を逡巡させる。そして目に付いたのは顔を真っ赤にして酔い潰れているシャチだった。
「オイ、シャチ。」
「あっ!おはよーございますキャプテン!どーしたんれすか?」
「イッカクは何処だ。」