第3章 2day
意気込んだは乗せられたパスタやチキンに再び手を付け始める。
それからは色々なクルーとも話し、今迄の冒険の数々の話を聞いてはまるでお伽噺のような話に驚き、感動し、また羨ましいとも思った。
酒に酔ったクルーは、己の持つ一発芸等で場を沸かし海賊らしい賑やかで楽しい時間はあっという間に過ぎていく。数ヶ月ぶりに沢山話し、笑ったはふとこの場に一向に現れないトラファルガーの存在を思い出す。彼は何故居ないのだろうか。気が付いてしまうと、いても立ってもいられない。直ぐに隣にいるペンギンの服の裾を掴み引いた。
「…ローさんは居ないんですか?ペンギンさん。」
「あぁ、キャプテンなら昨日朝まで篭ってたからな。まだ寝てるんじゃないか?というか、おれも呼び捨てでいい。」
「分かりました。私、見に行って来ますね。」
「行くならこれを持って行ってくれ。」
「おにぎりと…お酒?」
「あの人、集中するとあんまり食わないからな。どうせ朝まで食ってなかっただろうし、食わせて来てくれ。起きてなかったら机に置いておくだけでいい。」
「はい!ありがとう、ペンギン。」
3つのおにぎりと、酒ビンを受け取ったは昨日訪れたトラファルガーの部屋へと足早に向かう。たどり着いた部屋。小さくノックをしてみたが、返事は無い。はドアノブを掴み、その部屋へと足を踏み込んだ。
「ローさん…?」
部屋はもぬけの殻だった。ベッドにも居ない。酒とおにぎりを机に置き、ベッドへ触れてみるとまだ若干あたたかい。耳を済ましてみると、水音が聞こえてきた。シャワーの音だ。部屋の奥から聞こえてくる。は部屋の扉を閉め、まだ入ったことが無い奥の部屋へとゆっくり足を進めた。そこは洗面所になっていて歯ブラシやコップが鏡の前に置いてある。辺りをキョロキョロと見渡している内にシャワーの音が鳴り止む。は更に奥にあった扉をノックした。
「ローさん、居ますか?」
無言。だが確実に居る。扉から微かに香るシャンプーの匂いがそれを物語っていた。だが無闇に隣の部屋へと進入する勇気も無い。どうしたものかと頭を悩ませていると、不意に扉が開く。そこに立っていたのは紛れもない、トラファルガーだった。