第4章 旅
今、私達は車で、ある国家錬金術師のもとへ向かっている。
エドワード君達が、リオールという町で、レト教という教団の教主の悪事を暴いた時、賢者の石らしきものと、その威力を見たらしい。
巨大な合成獣(キメラ)も錬成していたとか。
エドワード君達の目的は、賢者の石で自分達の身体をもとに戻すこと。
そこで、生態錬成の分野の専門家を、リオールの件のお返しとして、紹介してくれることになった。
大「締盟の錬金術師。ショウ・タッカー。彼は二年前、人語を解する合成獣(キメラ)の錬成に成功し、国家資格をとった」
「人語を解するって…」
エ「しゃべるの?キメラが?」
大「ああ。しゃべったそうだ。たった一言…『死にたい』と…」
あエ「………」
大「その後、餌も食べずに死んだそうだ」
………………。
~到着~
エ「でっけえ家…」
サッ
突然影が差した。
ゥワオオォォォン
「きゃあああああ!!」
エ「ぬあああああ!!」
ドシーン
私は間一髪よけた。
けど…。
「え、エドワード君!?大丈夫!?」
エ「…………」
影の正体は白くて大きな犬だった。エドワード君が下敷きになっている。
ア「に、兄さん!!」
「え、エドワード君、大丈夫!?」
?「うわ~っ」
ん?
?「お客さんいっぱ~い」
?「ニーナ、犬は繋いでおかなくちゃ」
幼い女の子と、タッカーさんらしき丸メガネの男性が出てきた。
家の中に案内されると、中はぐっちゃぐちゃの散らかり放題。食器もろくに洗われていない。
タ「いやぁ、申し訳ない。妻に逃げられてから家の中もこの有り様で…」
タッカーさんは紅茶を出すと、私達の向かい側に座った。
タ「改めて、はじめまして、エドワード君にセレンさん。『締盟の錬金術師』、ショウ・タッカーです」
大「彼等は生態錬成に興味があってね。ぜひあなたの研究を拝見したいと」
タ「ええ。かまいませんよ」
良かった、見せてくれるんだ。
私達が喜びかけた時。
タ「ただ…人の手の内を知りたいというなら、君達の手の内も明かしてもらわないとね」
…!!
タ「なぜ…生態の錬成に興味が?」
大「ああ…いや…」
大佐が言いかけたのをエドワード君は手で止めた。
言うんだね。なら…私も明かすとしましょうか。