第7章 希望の道
少「偽名を使ってこんな田舎に隠れ住んでおられたとは…噂では、姿をくらます際、極秘資料を持ち出されたとか」
マ「私は耐えられなかった。上からの命令とは言え、あんなものの研究に手を染めてしまって…」
「あんなもの?」
マ「イシュバールの内乱では、あれのせいで罪もない多くの人の命が…私のしたことは、この命を持ってしても償い切れるものではない。それでも…出来る限りのことをと、ここで医者を」
少「…ドクター。あなたが研究を命じられたものとは、一体?」
マ「………賢者の石だ」
全「!!!!!」
マ「私が持ち出したのは、その研究資料と、石そのものだ」
エ「石があるのか!?ここに!!」
マ「……」
マルコーさんが取り出したものは、小瓶に入った赤いもの。
「石って…それ、液体では…」
マルコーさんは、小瓶の蓋をあけ、中身を出した。
赤いものは、机に落ちた際に塊となった。
全「!!」
マ「哲学者の石。天上の石。大エリクシル。赤きテンクトゥラ。第5実体。賢者の石に様々な呼び名があるように、石の形状も石であるとは限らないようだ」
エドが触ってみると、賢者の石はぷよぷよと動いた。
例えるならばスライムだ。
マ「だがこれは不完全品だ。いつ限界がきて、使用不能になるかわからん」
エ「それでも、イシュバールの内乱では十分に威力を発揮した。リオールのエセ教主もそうだ。不完全品とは言え、奴の能力は確実に底上げされていた…。それだけのものが作れるなら、場合によっては完全品も夢じゃない…」
エド…。
エ「マルコーさん!!俺にその研究資料を見せてくれ!!」
「お願いします!!」
マ「少佐。この子達は一体…」
少「彼らは国家錬金術師です」
マ「なっ!!こんな子供が…。あの内乱のあと、人間兵器であることに耐えきれず、資格を返上した術師が何人いたことか…。なのに君は…」
「バカな行為だと言うことはわかっています!!」
エ「それでも、目的を達成するまでは、針のむしろだろうが、座り続けなければならないんだ」