第5章 錬金術師の苦悩
ア「兄さん!!」
エ「ああ、そうだ。やりやがったな!?二年前はてめえの妻を、そして今度は娘と犬を使ってキメラを錬成しやがった!!動物実験にも限界があるからな。ああ、楽だろうさ、人間使えばなぁ!!」
タ「な、なにをそんな怒ることがある?今の科学は、無数の人体実験の賜物だろう!?」
エ「てめえ、こんなことが許されると思ってんのか!?こんな…人の命を弄ぶようなことを!!」
「あなた、自分がなにをしたかわかってる!?あなたは…実の娘の命を…自分の名誉、生活のために犠牲にしたんだよ!?なにものにも変えられない…実の娘、ニーナという人の命を!!」
タッカーの目には、後悔も、反省もない。
ただ邪悪な笑みを浮かべていた。
タ「人の命!?ああ、人の命ね!!鋼の錬金術師!!大空と大海の錬金術師!!お前等のその手足と、弟!!そして聴力!!それも、お前等の言う人の命を弄んだ結果だろう!!」
私は頭を押さえて叫んだ。
あ「違う!!」
タ「違わないさ!!同じだよ!!君達も、私も!!」
あエ「違う!!」
ドゴッ
あエ「私は!!/俺は!!」
ドゴッ
あエ「錬金術師は!!」
ドゴッ
エ「ちっくしょおおおお!!!!」
エドワード君が振り上げた拳を振り下ろそうとしたとき。
ア「兄さん!!」
ガシッ
ア「それ以上やったら死んじゃう!!」
エ「……くっ…。!!」
「…っ!!」
エドワード君達の傍らに、ニーナがいた。
二「お父さん…痛い…?痛い…?」
エ「…あ…あああ……」
ニーナ…?あなた…キメラにされたのに…それでも父親を…かばうというの…?
ア「ごめんね…僕達の力じゃ、君を元の姿に戻してあげられない…ごめんね…ごめんね…」
二「遊ぼうよ…遊…ぼうよ…」
タ「間に合ったんだ…。これでまた…国家錬金術師…」
タッカーが、銀時計を見ながらつぶやいていた。
エ「っ!」
ガキィン
エドワード君がそれを蹴り飛ばした。
タッカーは、あわててそれを取りに行く。
「何が国家錬金術師よ…何が!!」
エ「くっ…くっそおぉぉぉ!!」