第5章 錬金術師の苦悩
ホ「この世に悪魔の所業と呼ばれるものがあるとすれば…今回の件は、まさにそれですね…」
大「ああ。だが、人の命を背負うという点で、我々とタッカー氏の行為にさして違いはない。そもそも軍に所属した時点で、周りからは軍の犬と見られることくらい、覚悟していたはずだが…?違うか?鋼の、空海。今後も似たような事件に遭遇することはあるだろう。もしかしたらお前達自身がそういった事件に巻き込まれるかもしれない。その度に…そうやって立ち止まるのか?」
私は大佐とエドワード君を見つめていた。
エ「軍の犬と言われようが、悪魔と罵られようが、俺はアルと2人、元の姿に戻ると決めた。だけどなぁ…俺達は悪魔でも…ましてや神でもない。人間なんだ…人間なんだよぉぉ!!…たった1人の女の子も助けてやれない…ちっぽけな人間なんだ…」
………………。
「エドワード君…」
エ「…セレン?」
「こんなときに不謹慎だけど…君のこと…エドって呼んでいい?」
エ「?」
「なんか…もう他人って感じがしないんだ…」
エ「……ああ…いいぜ…」
「ごめん…エド…」