第5章 錬金術師の苦悩
セレンside
次の日。
ア「えっ?じゃあニーナが幼い頃にお母さんは出て行っちゃったの?」
ニ「うん。実家に帰ったってお父さんが言ってた」
「そう…。こんなに広い家にお父さんと2人じゃさびしいね」
ニ「ううん、大丈夫。お父さん優しいし、アレキサンダーもいるから!!でも…お父さんこの頃研究室ばっかりで…ちょっとさびしいな」
アエ「……………」
エドワード君とアルフォンス君、経験があるのかな…。
エ「…パタン。んああぁぁ…肩こった~…」
不意に、エドワード君が立った。くるくるとオートメイルの右手を回した。
ア「少し運動したら?兄さん」
エ「それもいいな~…おら、犬!!」
ワウッ?
アレキサンダーが反応する。
エ「俺の運動に付き合え」
ア「さあ、ニーナも」
「なら、私も相手しましょうか」
二「…………パァァ」
エ「うわわわわ!!」
二「待て~っ」
エ「よーし…」
エドワード君はオートメイルを変形させて追いかけ回す。
アルフォンス君は、背中を滑り台のように使う。
そして私は…、
「ニーナ、見てて」
私は手を打ち鳴らし、花が咲いているところに向けた。
二「…うわぁ!!」
私が錬金術で作って差し出した花の首飾りを見てニーナは大喜び。
私達は時を忘れて遊んでいた。
~夕方~
タ「国家資格を取る前の生活は…酷いものだったよ。貧しくてね…。妻はそんな生活に耐えきれず、出て行ってしまった。なんとしても査定を通らないと…。あの頃には、二度と戻りたくないからね」
国家錬金術師に与えられる莫大な資金。生活は一変したことだろう。
二「大丈夫よお父さん!!ダメだって言われたら、あたしとアレキサンダーが偉い人に怒ってあげる!!」
…ふふっ。
ア「ニーナは強いなぁ」
タ「ニーナ。明日はお父さんと一緒に、遊ぼうか」
二「ほんと!?」
タ「ああ」
ニーナはタッカーさんに飛びついた。
二「やったぁ!!アレキサンダー、お父さんが遊んでくれるって!!」
ワン!!
全「…ニコッ」
この時、私達は素直に喜んだ。
タッカーさんの裏の意思にも気付かず、次の日なにが起こるかも知らずに…。