第7章 1step,2hands,3seconds
いや、いやいや…でも
いいのかな…?
本当に遠いし戻ってくるの早くても夕方だし…
メインは日用品や食材の買い出しだからつまらないかもしれない…
そもそも乱歩さんお仕事は?
色々な考えが浮かび上がるけれど
ただそれ以上に
先刻の出来事や昨日のモヤモヤなんか全部吹き飛んでしまうくらい浮かれている私がいて
乱歩さんとこうしてお店以外で会って出掛ける
本当は…こんなことしてみたかった、なんて…
兎にも角にも!
出発の前に
いただいた食材をそのまま持って行く訳にはいかないので、一度自宅へ戻りキッチンへ
おばさんにあげたカップケーキを食べたいと言っていたのを思い出し、余分に作っておいた分を袋へと詰めていく
そもそもこれは乱歩さんが来た時に食べてもらおうと思ってたから丁度良かった
準備を終えると、車の中で待っている乱歩さんを思いバタバタと玄関へ向かう
靴を履こうとした所で足先が止まり、不意に考えが過った
別にデートじゃないけど…
せめて少しくらい可愛くみせたい…
バックからポーチを取り出し、普段はあまり付けない口紅を引く
手鏡で確認するとピンク色が妙に映えて、同時に頬を同じ色に染め上げていった
こんなにもドキドキしてる自分がむず痒くて可笑しくて満たされる
脱いだばかりのスニーカーからパンプスへと履き替えて
――どうか楽しい一日になりますように!
そう願って、乱歩さんの元へと急いだ