第7章 1step,2hands,3seconds
「く、車お借りします!
ありがとうございました!
失礼しますっ!!」
早口でまくし立てると車庫へ走り、食材をいれた袋を助手席へ詰め込んだ後、急いで車に乗り込む
状況を理解した途端、全身の血液が急速に巡る感覚に、恥ずかしくて堪らなくて…
つい乱歩さんを置いて逃げてきてしまった
あぁもう何でこんなことに…
おばさんお喋りだから絶対変な風に広まるし
乱歩さんだって
以前小学生に揶揄われた時は照れてたくせに
モヤモヤと考えていると助手席側に人の気配を感じる
ドアが遠慮がちに開けられ、乱歩さんが顔を覗かせた
「…怒ってんの?」
「え…?」
乱歩さんから出た意外な言葉
本当に本当に勝手なイメージだけど、乱歩さんはいつも自信満々で、人の気持ちを態々確認するようなタイプじゃないと思ってた
だから驚いて
それに少し眉尻を下げてそんな淋しそうな顔されたら…
「怒って、ないです」
「ふーん、じゃあ行こ!」
そう言って助手席にあった荷物を次々と後部座席へ移して乗り込んでくる
待って、展開が早い!
「あ、あの…行くって、どこに?」
「買い物に行くんでしょ?
僕も行く」
「え、でも市街まで片道二時間かかりますよ?」
「いいよ。
お昼はハンバーグ食べたい!」
ドライブ…
ランチ…
二人きり…
もしかしてもしかして
これは…
デート…?!