第7章 路地裏イチャイチャ in 佐助
「くだらん」
顕如が辟易した顔で立ち上がると、信長が呟いた。
「くだらんか。なかなか無い機会だと思うがな。佐助、以前話していた貴様らの時代のことをもう一度話せ」
「またですか?信長さまも好きですね」
佐助による現代語り。
鉄の塊が空を飛び回ったり馬より速く走る話しや、溢れる娯楽について述べると、晴美も補足を入れたり、懐かしがった。
「顔を隠して、か」
「はい。覆面レスラーと呼ばれています」
「これも覆面とやらになるのか?」
「!!....いや、それは......」
信長を見ると、見事なデカっ鼻に口ひげ、極太の眉毛を蓄えた眼鏡を着けていた。
誰も笑うに笑えず、張り詰めた空気が流れる。
「えっと.......」
佐助がシレッと信長に近づいて、眼鏡のツルにある小さなネジを回す。手を離すと、極太眉毛が上下運動を始めた。
ジィーーーーーー
....キュ......キュ....
「It's くいだおれ太郎」
「ぶーっ」
佐助が呟くと、晴美が吹き出す。
武将たちは意味が分からず、ポカンとしたままだ。
「の、信長さま、それは一体....!?」
「佐助から取り上げた眼鏡だ。似合っているか?」
「お似合いです」
「ぶふっ」
わなわなと震える秀吉をよそに、つけまつげバシバシの光秀が、ニヤリと笑いながら答える。
「信長さま一人を笑い者にするわけには....っ!晴美!お前は覆面とやらを持ってないのか!」
「あ、ちょっ」
「笑い者って言っちゃってるし」
晴美の制止を聞かず、勝手に荷物を漁ると、サラリとしたシルクの布切れを見つけた。
「信長さまぁぁっ!!覆面....えっと..覆面........っ、覆面です!!」
秀吉が見つけた布切れを頭から被り、信長に対して仁王立ちをする。