第7章 路地裏イチャイチャ in 佐助
「何か他に無いのか?」
「他にって言われても....」
謙信の言葉に、晴美も困ってしまう。
そもそも、飛ばされたくて飛んできたわけではないので、面白いものを期待されても困るのは当然だ。
「これはスプレーだし、こっちは化粧水のミストだし...」
「すぷれ?みず?」
「ミストは霧状にした液体のことです」
「貸してみろ」
謙信が有無を言わさずスプレーと化粧水ミストを取り上げるが、カタカナが読めない。
「化粧水ならば、顔に掛けられるのか?」
「掛けられますけど、そっちは」
シュッ
「ふがっ!」
ミストと間違えて、スプレーを顔面に噴射した謙信が、短い悲鳴を上げて七転八倒しはじめた。
「め、目がっ、目がぁ.....っ」
「何でみんな説明する前に使うんですかっ!そっちは痴漢撃退用の催涙スプレーですからっ!!と、とりあえず顔洗いましょ!」
ワタワタしている晴美をよそに、信長が声を掛けると、どこからともなく女中が現れて、謙信を水場へ連れていった。