第3章 路地裏イチャイチャ in リヴァイ
「............っ」
「あ?どうした」
兵長にギロリと睨まれる。
何か喋るたびに、口元のマスクがハフハフ動いて、低音ボイスが耳に届く。
「な....何でも、ない..です.....」
ゴシゴシゴシゴシ...
兵長と私の動きが連動して、ブラシが擦れ、汚れを落としていく。その音が紛れるくらい、鼓動がうるさく聞こえる。
(へ...兵長と....手、繋いで.....っ)
恥ずかしくて顔が上げられない。
こんな時間がずっと続くなら、いっそこのまま、汚れが落ちなければい..
『ぬぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ~~っ!!!』
「!!」
「あの声...ハンジか」
「兵長!」
「何があった」
エレンが立体起動で飛んでくると、兵長は手を離してエレンへ向き直ってしまった。
「それが...」
一時でも兵長とくっついていられた事を嬉しく思う反面、邪魔するなと思ってしまう。でも、ハンジさんのあの声は、普通じゃない。
「そうか、分かった。おい、掃除は終わりだ。片付けろ」
「え!?ぁあのっ」
「巨人の血は時間が経てば消えるそうだ。ハンジが発狂したのもそのせいだろ。あいつは巨人バカだからな」
血が、消える.....
ハッとして、さっきまでブラシで擦っていた壁を見上げると、ボロボロになっているだけで血は消えていた。