第11章 銀さん(銀魂)
俺はずっと目の前にいる女を見下ろして近づいたが、花奏は、黙ったまま俯く。恥ずかしがる。
「花奏って名前か。ふーん。とりあえず万時屋に来いよ、聞きてー事はいくらでもあるからよ。神楽には妙の家に行かせたし、明日も一日休みだから、絶対帰ってくるなって言ってるからよ」
「さ、坂田さん?どうしたんですか?私、何の事だか、さっぱり……」
視線を外して呟く花奏。バレた後じゃ滑稽に見えるぜ?完全に騙されたがな。
「よくあれだけ変身したな。ほォ、髪の毛も染めたか。黒く染め直したようだが、近くでみたら髪色が変わってんだよ」
「っ!いや、でも、それだけじゃ」
「銀ちゃんって言った、甘い声は同じだったぜ?」
にっと笑って手を握った。
「探して損したぜ。ずっとお前さんに会いたくて町中歩き回ったんだからよ。酷え女だぜ、こんな近くにいるのに何にも言わねーなんて」
やっと見つけた。
「だって、私色気無いし、全然違うし、化粧しなきゃ、可愛いくないし」
はぁぁ!?ちげぇーーよ、そこは
やっと私を見てけてくれたのね、銀ちゃん♡だろうが!
「外見なんか、どーだっていーじゃねーか。これだから女はめんどくせーな。花奏、今はそんな事は関係ねーだろ?」
お前を1週間パチンコも娯楽も一切やらずに探したんだ。銀ちゃん、大好きー♡って抱きしめろよ、俺を。
「っでも、私……」
まだグズグズ迷いやがって!言わなきゃわかんねーか。
「俺はお前に夢中なんだよ!お前じゃなきゃ勃たねーんだよ!わかったか!!」
ムカついて叫んじまった俺は、口元を堪らず手で隠した。わらわらとギャラリーが集まって、注目されてるのがいてぇほど分かる。
銀さん困っちまうだろうが。こんな年下の女の子に、俺は何て事を叫んでんだ。早くオッケーって言えよ。今、猛烈に恥ずかしいんだよ。
「っ!!…、で、でも」
時間の無駄だな。
「あー、ほら行くぞ。黙ってついてこい」
びっくりして逃げようとする花奏をぐいぐいと引っ張って万事屋に連れて帰った。