第11章 銀さん(銀魂)
夜、閉店した定食屋から、オヤジや働いていた奴らがやっと出てきやがった。
ある人物に目がいくと俺は笑った。
飛び跳ねて抱きつきたい衝動に駆られたが、周りの目がある。
ニヤけながら、店の前にあるガードレールに、体重を乗せて俺は待っていた。
「お、旦那じゃないですか」
オヤジは俺に気づいて声をかける。
大した女だよ、テメーは。俺を何時間待たせんだよ、つーか、まだ気がつかねーか。こっちを見ろ。
「よォ、花奏、待ってたぜ、遅かったじゃねーか」
手をひらひらとさせた。
「っ!?……え?坂田さん……?」
携帯から目を離した花奏は、俺の声に気づいて、顔を上げて、あんぐりな顔をする。
「オヤジ、その後ろにいる女、借りるぜ?」
「あー良いですよ。コイツ、からっきし色気が無いんですよ。デートにでも誘ってあげてくださいよ。明日は休みだしな」
ほら、行って来いって言われて押された女は、慌てたような様子を見せる。
「じゃあな、花奏」
そう言ってオヤジは離れていった。