第11章 銀さん(銀魂)
「せめて、名前とか、教えてくれても良かったのに、すんげー切ねえの。何で俺捨てられたみたいな感じになってるの?おかしくない?ひどくない?」
「うーん、坂田さんの夢が叶ったんでしょう?もう良いじゃ無いですか」
「いや、良くねーよ。いつまでたっても、腹の虫が収まらねーんだよ。俺は会いたくて会いたくて仕方ねーんだよ!」
夢が叶ったのに、全然嬉しく無いのはどうしてだ?あの女じゃねーといけねー理由がわからねーよ。イライラしながら飯を食っていた。
「おい、花奏、七番テーブル呼んでんぞ」
オヤジさんがバイトに声をかける。
「あ、ハイ!ごめんね?銀ちゃん」
にっこり笑顔で笑いながら、今まで喋っていた女が、その場を離れる。
「っ!!」
ハッと仰天して驚く俺は、目を見開いて後ろを振り返った。
「旦那、小耳に挟みやしたが、夢は叶ったんですか?そりゃ良かったですな」定食屋のオヤジが背中を向ける俺に声をかける。
「ああ、叶った。オヤジ、おあいそ頼む」
「ヘイ!」
その場を離れ、俺は万時屋に戻った。