第8章 イタチ。切
熱い情熱を、愛しく思いながら、
花奏は、熱く涙を流す。
「んー……ん、……」
イタチが、
あの日の夜と同じように
目を優しく細めて、
涙を流す花奏を見つめる。
唇を塞がれたまま。
離さない。
達して意識を失いそうな花奏。
ゆっくりと口づけを名残惜しく離し、愛しく微笑む。
花奏は、薄れゆく意識の中で
暖かく笑うイタチを見つめ、涙を流す。
「…イ、イタチ、君、……好き、……」
「オレもです……」
必死に、息荒く、深く呼吸しながら
イタチをまっすぐに見つめる。
待って、お願い。
「大好きなの……だから、……」
待って。
「花奏さん……、次は容赦しない。必ずアナタを連れて行く……」
朦朧とする中で、
暖かくて
優しい
声が耳に届いた。
あの夜と
同じ言葉をイタチは
口にする。
花奏は、
止まらない涙を流す。
「イ、タチ、君………行かないで……いや、待って…」
花奏は、懸命に口を動かす。
「……イタチ、君……、お…願い……好きなの……だから、お願い…もう、お願いだから…置いて…行かないで…!」
「花奏さん、好きだと言ってくれて、ありがとう……もう、目を瞑って下さい……」
ゆっくりと
愛しい口づけをされ、
真っ暗な闇に堕ちていった。