第8章 イタチ。切
意識を失った花奏に、もう一度、優しくキスを落とし、乱れた任服を綺麗に整え、布団をかけた。
自分の服も整えて、出ようとする足を止めて、もう一度花奏を見つめる。
「花奏さん……、たまにでいい。オレの事を……思い出してください……」
返事の戻らない、眠る愛する人に、
最後の願いを、
口にした。
イタチがドアを開ければ、
鬼鮫が部屋の前で待っていた。
「花奏はどうしたんですか?」
わざとらしく口にする鬼鮫。
「ああ、逃げられてしまったようだ」
「クク……、またそんな嘘を……。良いんですか?このまま寝かせたままで」
「……大丈夫だ。影分身で、カカシさんに伝えた。今から向かってくるはずだ」
「っ!?では、急ぎましょう」
「……今日は雨だ。匂いはすぐ消える…」
走り去りながら、花奏のことを
愛しく思いながら走った。
花奏と愛し合いたかった。
永遠に。
決して
叶わない、優しい願い。