第1章 路地裏inアンアン…?♡カカシ先生
「分かったから、もう分かった。降参するから。それ以上泣くな、花奏」
「っ!!カカシ先生、一人の女として、これからは私を見てくれるんだよね?」
「ああ、ちゃんと見てやるから。お前は本当に可愛い奴だな、我慢出来ないよ」
いつもの優しい言葉を口にしながら、ゆっくり振り返り、こちらに身体を向けた。だけど、その顔はいつも私に向ける教師の顔ではなかった。
今まで一度も私に見せた事が無い
情欲に濡れた男がその場に立っていた。
「だいたい、それ影分身だよ?」
「っ!!!」
不意打ちをかけるように、真後ろから声をかけられ、私は身体を竦めてびくりと肩を揺らす。呆気なくカカシ先生に後ろを取られてしまう。
激しく心拍数を上げながら、ゆっくり、ゆっくりと、体ごと向きを返れば、真後ろにカカシ先生がいた。
「っ!!!や、やだなぁ、カカシ先生、影分身なんか使っちゃって……今は本物なんだよね?ビックリしちゃうから。背後になんて立たないで下さいよ。」
恥ずかしいのを隠すように平然と話しかけるが、心臓は煩く鳴らしている。
その声に反応するように術を解いた音が背後から聞こえた。
今まで私が告白をしていた男は影分身で、二人の様子を背後からカカシ先生は一部始終 漏らさず見ていたようだ。
なんつー悪趣味な人。やはりこの先生は一筋縄ではいかなかった。何かしら意地悪をしてくるとは思っていたが、案の定やられた。
優しいのに、たまにこうやって意地悪をしてくる悪い先生。
「何言ってんの。忍が後ろを取られちゃダメでしょ?ま、オレも気合い入れて気配を消してたからね、気づけって言われても中々無理な話なんだよね」
「…………カカシ先生……近い…んですけど……え?」
今までの姿とは全く違う上機嫌な様子だ。
まるで、ずっと抑えていたものを解き放ったような……こんな姿を生徒に絶対向けない。興奮に満ちた瞳を私に露呈している。
カカシ先生は薄く目を細め、見下しながら、後ろに尻込みしていく私との距離を、徐々に、じわりじわりと縮めていく。
ここは薄暗い人気のない路地裏、そして行き止まり。後ろには大きな壁。
逃げ場はない。
袋のネズミは私。
一瞬にして、立場が逆転していた。